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バリバリ通信

冬の眉山に心ぞめく

掲載日:2014年12月

徳島市街地を一望のもとに
(徳島県徳島市)

 徳島を訪ねるなら街全体が熱狂の中にあるお盆がいい。しかし時期を外しても観光客が多いのはシンボルでもある眉びざん山の魅力か。どこから見ても山の姿が眉の形に似ているのでその名がついたとされる眉山。つまり思った以上になだらかで、標高の割に裾野が広い。現に車で山頂まで登ろうとするとかなりの迂回をさせられる。そのアプローチは南側の二軒屋方面から登る眉山パークウェイと、北側の蔵本方面から登るドライブウェイの二通り。どちらも歩道のない曲がりくねった山道だが、前者の方がセンターラインがある分、広くて登りやすい。ただし日中はもちろん暗い時間帯も歩行者やランナーに要注意。山頂から日の出を見ようと歩いている方も多いのだ。

眉山から眺める夜景
眉山から眺める夜景

眉山は初日の出だけでなく夜景の名所としても有名。市街地を見下ろす展望台は格好のデートスポットだ。

 山頂にそびえる一風変わった円錐塔はミャンマー様式の仏塔であるパゴダ平和記念塔。太平洋戦争の旧ビルマ戦線戦没者を慰霊し、恒久平和を願うために昭和33年に建立された。そのそばにあるモラエス館は晩年を妻ヨネの故郷である徳島で過ごした元ポルトガル総領事ヴェンセスラウ・デ・モラエスを記念し、再現された書斎や資料を展示している。モラエスは明治時代に来日し、ポルトガルのポルト商業新聞に日本の政治や生活様式の紹介記事を連載したほか、「徳島日記」や「日本精神」など、日本に関する書物を著した。そこから少し下った眉山ロープウェイ山頂駅前の展望台には万華鏡ならぬ眉華鏡(まゆげきょう)がある。高さは約6メートル。4千個を超えるLEDを使用し、下からのぞき込むと光が動く様子が見える。それはまさに万華鏡。夜は本体が七色に変わりながら光るようになっており、市街地からも目立つ存在だ。

阿波の風による阿波おどりとからくり時計
阿波の風による阿波おどりとからくり時計

(写真右)阿波の風による阿波おどり
阿波おどりは日本古来のナンバ、つまり同じ側の手足を同時に動かす二拍子の踊り。膝の開きの有無によって男踊りと女踊りが異なる。鉦(かね)・太鼓(大太鼓)・三味線・篠笛・鼓・締太鼓が奏でる軽快なリズムに乗り、手は高い位置を保ったままで前後させるのがコツ。

(写真左)からくり時計
ぞめきのリズムに乗って阿波おどりの人形たちが2時間おきに顔を出す。さすが徳島、と思わせる仕掛け。

眉華鏡
眉華鏡(まゆげきょう)

徳島はノーベル賞に輝いた青色LED開発の一大拠点でもある。眉山山頂展望台の眉華鏡はその象徴。

 展望台から眺めると正面に広がる海が紀伊水道。対岸は和歌山だ。初日の出はちょうどこの芳香からになる。左手に流れるのが四国三郎・吉野川。天気がいい日には鳴門海峡を挟んで淡路島も見える。市街地の中心に見える小さな山が城山。阿波・淡路の二国を治めた蜂須賀家の居城だったが、天守閣は1876(明治9)年に取り壊された。こうして山頂から俯瞰(ふかん)するのもいいが、ロープウェイから見下ろす景色も壮観だ。ズームアップしたかのように街が次第に大きくなり、眼前に迫ってくる。

ケンチョピアから眺める眉山
ケンチョピアから眺める眉山

新町川を挟んで徳島県庁の対岸にはみなと公園が整備され、ケンチョピアと呼ばれるヨットの係留場にもなっている。県庁前と言えばお堅いイメージだが、ケンチョピアというネーミングなら親近感がわく。

レンタサイクルとレンタバイク
レンタサイクルとレンタバイク

市内巡りの足として最適なのがコレ。そごう地下の徳島市観光ステーションで借りられる。電動アシスト付き自転車は1日500円(1時間100円)、電動スクーターは1日1,000円。

 ロープウェイの空中散歩は約6分。山麓駅は阿波おどり会舘の5階にあり、降りた同じフロアの「阿波へんろそば手打ち学校眉山」では手打ち体験もできる。3階は阿波おどりミュージアム。盂蘭盆(うらぼん)踊りが組織立って行う組踊りへ、そして即興の寸劇を交えた俄(にわか)、「騒(ぞめ)く」から派生したぞめきへと変遷していった阿波おどりの歴史や魅力を紹介している。さてその阿波おどり、2階の阿波おどりホールでは年末年始を除いて、昼は会館専属の連である阿波の風、夜は有名連の公演を見ることができる。見るだけではない。基本中の基本だけを教えてもらうと希望者全員がステージに上がり、狂わんばかりに踊る、踊る、そしてまた踊る。まさしく「よしこの」にうたわれる「同じ阿呆なら踊らな損々」の世界である。

 阿波おどり会館を出て北方向に少し歩くと寺院が軒を連ねる寺町。城下町建設に際し、蜂須賀家政が寺院を集めて作ったという。一角に錦竜水(きんりょうすい)と呼ばれる湧水があり、その昔は殿様の飲料水として使われた。現在も良質な水として市民に親しまれている。錦竜水を使った御用菓子として有名なのが滝のやき餅。上品な甘さでしつこくなく、抹茶との相性も抜群だ。製造元の和田乃屋本店は石段が整備された大滝山登山口にあり、店の中からさだまさし原作の小説「眉山」にも描かれた白糸の滝(眉山の滝)も眺められる。桜の時期もいいが、モラエスが好んだ黄花亜麻(きばなあま)が一面に咲き誇る冬がおすすめ。

滝の茶屋(和田乃屋本店)
滝の茶屋(和田乃屋本店)

滝のやき餅やぜんざいで知られる和田乃屋本店。カウンターに座ると可憐な黄色い花が目に入ってくる。これが東南アジア原産の黄花亜麻。白糸の滝をバックにした光景をモラエスも好んで眺めていたのだろうか。

徳島ラーメン・徳島の酒・ういろう
徳島ラーメン・徳島の酒・ういろう

(写真左)徳島ラーメン
色の濃い醤油味のスープに豚バラ、生卵が定番、とは限らない。店によって特徴はあるようで、好みも人それぞれ。ラーメンはおかずだと信じて疑わない人までいる。写真は「いのたに」の中肉玉。

(写真中)徳島の酒
すだちから作った焼酎、芋焼酎を再度蒸留したウォッカ風イモッカ、それに日本酒二種。

(写真右)日本三大ういろうの産地
名古屋・山口と並んで徳島がういろうの名産地だということをご存知だろうか。阿波おどり会館で企画展示していたからこそ気づくことができたのだが、徳島産は独特のねっとり感が少なく食べやすい。

 ところで徳島は水の都。縦横無尽に吉野川水系の分流が走り、中心市街地は新町川、助任川、福島川に囲まれた中州に建つ。上空から眺めるとひょうたんの形に見えるためにひょうたん島と呼ばれるようになったそうだが、徳島城の内堀近くの土地を瓢箪(ひょうたん)島と呼んでいた時代もあったようだ。この内堀が瓢箪堀。その名の由来は堀の形がひょうたん型だったとも、堀の中にひょうたん型の島があったとも言われ、はっきりしない。そんな昔に思いを馳せながら、今度は城山から眉山を眺めてみるとしよう。

ひょうたん島クルーズ
ひょうたん島クルーズ

両国橋のたもとにある新町川水際公園から出発。徳島市中心部を巡る30分の船旅は保険料として200円を払うだけ。公式パンフレットによれば途中19の橋をくぐるのだが、中には頭をぶつけそうになるところも。干満差が約70センチあるそうで、満ち潮の時は特に注意。

満ち潮水族館
満ち潮水族館

街の中心を流れる新町川は市民の憩いの場ともなっている。写真は遊歩道が川面より低いことを利用した新町橋下にある満ち潮水族館。西岸にはボードウォークも。

地図

徳島市までの交通

徳島市までの交通

【JRで】

徳島駅まで
 高松駅から 約60分(特急)
 阿波池田駅から 約70分(特急)

【高速バスで】

 土庄港まで(高松港から) 約30分

【自動車で】

 高松自動車道鳴門I.C.から国道11号を通り約13km、または徳島自動車道徳島I.C.から約5km
 

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