ここはこのページの先頭です

バリバリ通信

醤の郷で素麺を探す

掲載日:2014年9月

映画と醤油とオリーブと
(香川県小豆郡小豆島町)

映画「二十四の瞳」の大石先生と12人の子どもたちの像 まずはフェリーで小豆島の表玄関である土庄(とのしょう)港へ。今も変わらず映画「二十四の瞳」の大石先生と12人の子どもたちの像が迎えてくれる。ちょうど昼時だったので素麺の旨い店はないか聞いてみると、紹介されたのは「なかぶ庵」。延ばしたての生素麺を味わえるそうだ。教えられたとおり国道を車で30分ほど走ってオリーブ園や草壁港を過ぎ、安田交差点を左折後すぐに右折した辺りで次々と県外ナンバーの車数台がさらに左折していく。何があるのだろうと、ついて行ってみることにした。

 川沿いの細い道を上り、彼らが着いた先は「ヤマロク醤油」。昔ながらの杉樽で今でも完全手作りを続けている造り醤油屋さんだ。映画「瀬戸内海賊物語」ではここが主人公の家として描かれた。軒先まで何とも言えないもろみの優しい香りが漂う。予約なしでも「天然もろみ蔵」の見学ができるそうなので、さっそく見せてもらうことにした。蔵に入るなり直径2.3メートル、高さ2メートルの大きな樽が40本、居並ぶさまに圧倒される。樽や土壁にはおよそ150 年を共に過ごしてきた酵母菌がびっしり。蔵の見学後は醤油の試飲ができ、その場で購入もできる。しょうゆプリンや醤油がけアイスクリームは軒先の「やまろく茶屋」でどうぞ。

木桶(杉樽)が並ぶヤマロク醤油
木桶(杉樽)が並ぶヤマロク醤油

二十四の瞳、八日目の蝉など、映画の島としても有名な小豆島。そして瀬戸内海賊物語のロケが行われたのがここ、ヤマロク醤油。同社の5代目となる社長は行動力のある方で、現存する醸造用木桶製造業者が1社のみという危機的状況の中、自ら木桶職人に弟子入りして新桶を作ってしまった。原料によって味が変わるのはもちろんだが、樽によっても味の深みが違うそうで、やはり150年前から稼働する古い樽でつくったもろみがいちばんおいしい、とのこと。

 ヤマロク醤油からなかぶ庵へは歩いて10分ほど。お目当ての生素麺はもちもちプリプリで、こんなに食べ応えがある素麺は初めてだ。ガラス戸の向こうは工場になっており、食事しながら箸分けをしている様子を映画と醤油とオリーブと(香川県小豆郡小豆島町)見ることができる。事前予約をしておけば体験もできるそうだ。

なかぶ庵の生素麺
なかぶ庵の生素麺

一般的に素麺と言えば島の光に代表される乾麺だが、こちらはできたて、延ばしたての生素麺。1人前500円。写真は1.5人前700円。土産用は2人前400円。

 なかぶ庵を出て国道に戻る。坂手港へと続く県道28号線を含めたこの界隈は「醤(ひしお)の郷(さと)」と呼ばれ、大小さまざまな醤油屋さんや佃煮屋さんが立ち並ぶ。小豆島は昔から製塩業が盛んで、大阪や京都などに船で出荷、代わりに麦や大豆を積んで帰ってきていたそう。こうして製塩業の二次産業として、素麺や醤油造りが始まった。そこからさらに派生したのが佃煮である。一帯にはイートイン可能な土産物販売店を備えた工場も数多く、いずれも事前予約すれば製造過程の見学が可能。

醤の郷の醤油関連商品
醤の郷の醤油関連商品

醤油の味は各社それぞれ。しかも1社でいろいろな製品を出しているので用途とお好みで選び放題だ。島内のレストランには数十種類の醤油を置いているところもあり、飲み比べならぬ付け比べができる。醤油せんべいに驚きはないが、プリンやカステラがあるのはびっくりした。また、佃煮には香川県特産の希少糖を使用した商品も。

醤の郷ならではの変わり種ソフトクリーム4題
醤の郷ならではの変わり種ソフトクリーム4題

①マルキン醤油記念館のしょうゆソフトクリーム
②一徳庵のもろみソフトクリーム
③瀬戸よ志の島塩牛乳ソフトクリーム
④オリーブ園のオリーブリーフソフトクリーム

 小豆島はオリーブの島でもある。地中海原産のオリーブが栽培されるようになったのは1908(明治41)年から。政府によって試験栽培されたのが始まりだった。比較的温暖で雨が少ないという瀬戸内海性気候が原産地と似ており、それが成功へとつながったようだ。当時の原木は国道沿いの小豆島オリーブ園と山を登った道の駅小豆島オリーブ公園との間にあり、今でも立派に実を結んでいる。ところで一般的な植物油とオリーブオイルとの違いをご存じだろうか。菜種油やごま油などは種子を搾しぼるのに対し、オリーブオイルは果肉を搾る。つまりオリーブオイルはオリーブジュース、と言ってもいいぐらいの代物なのだ。

オリーブ収穫体験
オリーブ収穫体験

香川県花・県木でもあるオリーブは12月半ばまでが収穫期。その収穫やオイル製造などを体験できる滞在型イベントに興味のある方は道の駅小豆島オリーブ公園(TEL:0879-82-2200)へ。

オリーブオイルを使った商品
オリーブオイルを使った商品

料理から化粧品まで幅広い用途を持つオリーブオイル。物理的に搾っただけのものをバージンオリーブオイルというが、その中でも酸度が0.8%以下でパンやサラダに直接かけるほど素晴らしい風味を持つのがエクストラ・バージン・オリーブオイル。酸度が高すぎるオリーブから遊離脂肪酸などを除去するために精製したものが精製オリーブオイル。この精製型とバージン型をブレンドしたものが一般的にオリーブオイルと呼ばれている。

 さて現在、小豆島では「ひしお丼」での町おこしを行っている。ひしお丼を名乗るためには以下の3条件を満たさなければならない。①醤の郷で作られた醤油やもろみを使うこと、②魚介や野菜、オリーブなど小豆島の食材を使うこと、③箸休めにオリーブか佃煮を使うこと。逆に言えばこれだけしか制約がないため、島中に27を数える丼はバラエティーに富む。海鮮丼と決めつけていたら然さに非あらず。オリーブの搾り滓かすを飼料に加えて育てた「オリーブ牛」のステーキ丼まで存在する。まさに値段も味も千差万別だ。時間のある方はぜひ、ひしお丼巡りとしゃれ込んでみてはいかがだろうか。

ひしお丼
ひしお丼

土庄港前にあるオーキドホテルのレストラン「アネモス」のひしお丼「瀬戸の幸」。たっぷりの魚介に料理長オリジナルのもろ味ソース(もろみ+オリーブ油+ゴマ油)をかけていただく。1,500円。

地図

醤の郷までの交通

醤の郷までの交通

【フェリーで】

土庄・池田・草壁の各港まで
 高松港から約60分
 坂手港まで(高松港から) 約70分

【高速艇で】

 土庄港まで(高松港から) 約30分

【港から路線バスで】

安田バス停まで
 土庄港から 約30分
 池田港から 約17分
 坂手港から 約9分

※小豆島島内の移動はバスが乗り放題になる小豆島フリーパス1日券2,000円・2日券2,500円が便利
 

記事一覧はこちら