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バリバリ通信

大三島を駆ける

掲載日:2014年6月

自転車で巡る国宝の島
(愛媛県今治市)

 自転車で走るには少々不向きな季節というのは承知している。しかし芸予諸島は今が旬。と言うのも今年の10月26日まで広島・愛媛両県が主催する「瀬戸内しまのわ2014」が開催中で、和田竜の小説『村上海賊の娘』は本屋大賞を受賞したばかり、さらには大森研一監督/脚本の映画『瀬戸内海賊物語』が全国で封切られた、まさに絶妙のタイミング。それを差し置いても今やしまなみ海道はサイクリストの聖地とまで言われ、全国から注目される地域のひとつになっているのだ。

大山祗神社
大山祗神社

境内には樹齢2600年とも言われる大楠が林立。あちこちでカメラを向ける人が見受けられた。

 中でも大三島は四国と本州のほぼ中間に位置し、愛媛県内最大の島である。かつては大山祗(おおやまずみ)神社のおひざ元ということから神の島、すなわち御島(みしま)と呼ばれていた。大山祗神社が一大観光地であるため長らく海上交通の要衝だったが、平成11(1999)年のしまなみ海道全通を機に、高速バスに置き換えられる形で定期航路は徐々に縮小されてしまった。現在も残るのは今治と宗方(むなかた)を結ぶフェリー2往復と旅客船4往復、それに竹原市忠海(ただのうみ)と盛(さかり)を結ぶフェリーが10往復のみ。今回は今治からフェリーで宗方に上陸し、時計回りに走って大三島橋へ抜けようと思う。

 宗方から大山祗神社へは上り坂に悪戦苦闘しつつも約30分の道のり。「日本総鎮守」と鳥居の額に掲げられた大山祗神社は戦いの神、そして海や山の守り神として名高い。全国に広がる山祗神社や三島神社の総本社でもある。天然記念物のクスノキ群がうっそうと生い茂り、宝物館には国内に現存する半数近くの国宝や重要文化財の甲冑が保存・展示されている。この宝物館・海事博物館のほか、大三島には美術館・博物館が点在している。道を隔てて大三島美術館、多々羅大橋近くには大三島出身の書道家・村上三島記念館、島の南西部には伊東豊雄建築ミュージアム、ところミュージアム大三島、そして岩田健母と子のミュージアム。それぞれ見どころが多いので、時間に余裕を持った計画を。

宗方経由木江(大崎上島)行きフェリー
宗方経由木江(大崎上島)行きフェリー

宗方港には宮浦方面への連絡バスが待つ。旅客料金は750円、自転車が250円。帰りはしまなみ海道を走って帰るのに大三島橋50円、伯方・大島大橋50円、来島海峡大橋200円必要。ただし11月末まで自転車道通行料金が実質半額になる50円券×10 枚のしまなみサイクリングクーポン(250円)販売中。

 参拝した後は神島(みしま)まんじゅうを買うため村上井盛堂経由で表参道を抜け、大三島の玄関口だった宮浦港へ向かう。以前は船が着くたびに参道全体が参拝客でごった返していたものだが、宮浦港発着の定期船は全廃されてしまった。かつての面影はないが、今でも毎年7月20日に開催される鶴姫まつりの際には島内外から大勢の観光客が訪れ、一時の賑わいを見せる。中でも鶴姫行列は水軍由来の甲冑や伝統的なコスチュームに身を包んだ一団が大山祗神社から宮浦港へと参道を練り歩くメインイベントで、鶴姫合戦を今の世に再現。今年はしまのわ絡みで寸劇も繰り広げられるそうだ。

宮浦港と表参道
宮浦港と表参道
宮浦港と表参道

大三島へ至る主要交通機関は船からバスへ。それに伴い、港も参道も閑散としていた。フェリー乗船待ちの車であふれた駐車場は瀬戸内海交通バスの駐車場に。そんな中でも神島まんじゅうの村上井盛堂本店は健在。

 そのまま外周コースを北上し、盛へ。キャンプ場前には「今治大三島自転車道線ゴール地点」という標識があった。盛港を過ぎ、今度は東岸を南下する。NHKの人気人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルとも言われる瓢箪(ひょうたん)島を横目に快走すると、多々羅大橋にようやく近づいてきた。

 多々羅大橋は愛媛・広島の県境。平成の大合併以降は今治市と尾道市の市境でもある。周辺にはしまなみドーム三島の湯、多々羅温泉しまなみの湯という2つの温泉がある。西岸の台(うてな)にあるマーレグラッシア大三島ともどもサイクリングの汗を流すにはうってつけだ。もっとも、大山祗神社横の道の駅「しまなみの駅御島」の大三島レンタサイクルターミナルにはシャワーが併設されている。自転車を借りた人はこちらでどうぞ。30分200円。コインロッカーも併設されているが17時までの営業。

上浦レンタサイクルターミナル
上浦レンタサイクルターミナル

多々羅大橋のそば、「マハタ」が味わえることで人気の道の駅「多々羅しまなみ公園」に併設。レンタル料金は500円から。このほかに保証金1,000円が必要。料金はしまなみ海道各レンタサイクルターミナル共通。今治駅で借りて上浦に返す、ということも可能だが、他のステーションに乗り捨てる場合は保証金が返却されない。

 お土産を買うなら多々羅からさらに南下して、瀬戸港の近くにあるLimone(リモーネ)へ。有機無農薬で自家栽培された柑橘を使ったマーマレードやリキュールが人気。ここでしか買えない味に仕上げたチョコレモンクッキーは今治市内のレストラン、ヌーヴェルテロワールとのコラボレーションスイーツだ。店内のディスプレーや商品のラッピングもおしゃれ。

Limone(リモーネ)
Limone(リモーネ)

自家栽培のレモンを使ったリキュール「大三島リモンチェッロ」やドルチェもいいが、この季節ならやはり自家栽培のハッサクを使った「八朔つゆ」。そうめんに最適だ。

小みかん
小みかん

水軍が室町時代に中国から持ち帰ったとされるみかんの原種。樹齢500年以上とされ、根の部分ですべての木がつながっているそう。愛媛県の天然記念物。

 鼻栗瀬戸を眼下に、大三島橋を渡る。大三島橋は1979(昭和54)年、本州四国連絡橋3ルートの中で最初に開通した。そこを大三島から伯方島へと向かう。海を渡る風が心地よい。しまなみ海道のサイクリングが人気なのもわかる気がする。しかし橋まで登るのは大変だった。これが伯方島・大島と繰り返されるのか、と少しぞっとしながら大三島を後にした。

自転車道
自転車道

しまなみ海道沿線だけでなく、愛媛県下では自転車レーンを示すブルーラインが定着。ラインに従って走ればまず迷わない。

【サイクリングしまなみ】
10月26日(日)に行われるイベント。自転車専用道を通行止めにして自転車で走れるとあって、昨年のプレ大会は雨にも関わらず全国から大勢の参加があった。エントリー受付は7月31日(木)まで。今年は来島海峡大橋だけでなく、今治から因島まで自転車道区間を走れるコースも。
http://cycling-shimanami.jp/
地図

大三島までの交通

大三島までの交通

【フェリーで】

宗方港まで
 今治港から約50分

【バスで】

大山祗神社前バス停まで
 今治駅前から約60分
 松山市駅から約2時間17分

【自動車で】

大山祗神社まで
 西瀬戸自動車道大三島I.C.下車後約7.5km、15分
 

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