ここはこのページの先頭です

バリバリ通信

四国最南端を歩く

掲載日:2014年3月

ヴォルティス!春の渦まつり
(徳島県鳴門市)

  鳴門市内へ入ると右手の小高い山の上に天守が見えた。真下まで行ってみたが、中には入れない。入口には「鳥居記念博物館は閉館しました」の張り紙が。この山は桜の名所として名高い妙見山。戦国時代には阿波九城のひとつ、撫養(むや)城があった場所。しかし天守はないまま、徳川幕府の一国一城令により廃城となった。つまり現在の天守はコンクリート製の模擬天守。徳島出身の人類学者・鳥居龍蔵博士の業績を顕彰するため昭和40年に建てられたものだそう。

春の渦まつり「渦開き」
春の渦まつり「渦開き」
オープニングイベントとなる3月1日の「渦開き観潮船」では、「鳴門うずしお大使」都あおいさんと「クイーン淡路」松沢一女乃さんが「春を開く」の願いを込め、黄金のカギを勢いよく海中へ投げ込んだ。

 さて渦の話である。イタリアのメッシーナ、カナダのセイモアと並ぶ世界三大潮流に数えられ、瀬戸内海と太平洋とを分かつ鳴門海峡。その潮位差で満ち潮の時は瀬戸内海側へ、引き潮の時は太平洋側へと、海峡中央部では時速10ノット(約20キロメートル)にもなる早い流れが生じる。ところがその周辺の浅瀬では流れが比較的ゆっくりしており、それが海峡中央部の本流に巻き込まれる形で渦を形成するのだそうだ。渦にも旬があり、最も発生しやすいのが旧暦の3月節句。加えて大潮となる新月と満月の日は渦も大きくなりやすい。今年で言えば新月の3月31日か、満月の4月15日がおすすめ。今ならちょうど「鳴門海峡の渦潮を世界遺産へ」のキャンペーンを海峡を挟む鳴門市・南あわじ市が共同して繰り広げており、周辺の東かがわ市を巻き込んで4月30日まで各種イベントが目白押しの「春の渦まつり」開催中。

 

 鳴門で渦を見るポイントはいくつかあるが、中でも観潮船は渦を間近で見られるのが魅力。鳴門からの定期船は3種類が就航している。「わんだーなると」は1等船室も備えた400人乗りの大型観潮船。同じ港からの小型水中観潮船「アクアエディ」は水深1メートルの「渦の中」を見ることができ、大塚国際美術館そばの港から出る小型高速観潮船「うずしお」は海面ぎりぎりからの迫力を楽しめる。それぞれ乗り比べてみるといいかも。

 

「うずしお」
渦をより近くで見ようと後部甲板には大勢の乗客が集まる。

「わんだーなると」(左)と
「アクアエディ」(右)

「わんだーなると」の2階甲板からは渦を俯瞰できる。「アクアエディ」は水面下に船室を備え(写真右下)、海中での渦の様子を観察できる(写真左下)
 
「エスカヒル鳴門」屋上からの眺望
「エスカヒル鳴門」屋上からの眺望
正面円形の建物が大鳴門橋架橋記念館「エディ」、その右手奥、広大な庭園を持つ低層の建物群が大塚国際美術館。手前に伸びるガラスがその昔、東洋一長いと言われた「エスカヒル鳴門」のエスカレーター。
「エスカヒル鳴門」の「鳴門金時芋ソフト」
こちらも有名、1階アイスクリームショップ「パーク・イン」の鳴門金時芋ソフト。ふかした金時芋にアイスクリームと芋皮チップスをトッピング。「あつひや」感が絶妙。

 大鳴門橋架橋記念館「エディ」の館内には各種シミュレーター、橋や渦の豆知識が学べるコーナーがあって大人も子どもも楽しめるが屋上からの眺めも捨てがたい。エディから大鳴門橋を陸橋で渡ると、長さ68メートル・高低差34メートルのガラス張りエスカレーターで有名な「エスカヒル鳴門」。屋上からはほぼ360度の眺望が得られる。隣にエスカヒル4階から行ける丸太組みの鳴門山展望台もあるが、眺望はエスカヒルに軍配が上がる。第一駐車場からトンネルをくぐった先にあるのが千畳敷展望台。大鳴門橋をバックに記念撮影をするならここが絶好のロケーションだ。お茶園展望台は路線バスの終点「鳴門公園」に最も近い展望台。吉川英治の長編小説「鳴門秘帖」の石碑が建つ。

 
徳島県立「渦の道」
徳島県立「渦の道」
眼下に渦を眺めることができる。しかし金網かガラス越しになってしまうため撮影にはちょっと不向き。羽田空港屋上展望台のように、金網のひと区画だけでも10センチメートル角に切り抜いてくれるといいのだが…。

 自動車専用道の大鳴門橋は言うまでもなく駐停車禁止。つまり車道から渦を見るのは走行中の車窓からに限られる。しかしじっくり橋の上から渦を見ることができるポイントがある。それが徳島県立「渦の道」。大鳴門橋は鉄道道路併用橋として開通したものの、後からできた明石海峡大橋が道路橋として完成したため新幹線計画が頓挫、道路下の空間が当面は利用されないことになってしまった。これを海上45メートルの遊歩道として活用し、平成12(2000)年にオープンしたもの。海峡中央部付近まで、海の上を歩くこと約450メートル。海峡に渦が巻く様子を金網やガラス越しに見ることができる。床面がガラス張りになっている部分もあり、親にしがみつく子どもの姿も見受けられた。

 
大塚国際美術館
大塚国際美術館
写真の「システィーナ礼拝堂天井画」をはじめ「最後の晩餐」、「モナ・リザ」、「ゲルニカ」など、世界の名画が原寸大の陶板画で展示されている。iPod touchを借りての散策がおすすめ。

 鳴門は大塚グループの企業城下町としても知られる。グループ本社は東京に移転してしまったが、今も大塚製薬工場などの本社が残る。平成10(1998)年にはグループ設立75周年を記念して、鳴門公園内に大塚国際美術館を開館した。地下3階、地上2階、順路通りに歩けば総延長はなんと4キロメートル。時間と相談しながら効率的に回りたい。蛇足ながら、館内のショップではお土産品として昔懐かしいパッケージのボンカレーも売っていた。そう言えば今年、四国初のJ1昇格を果たしたサッカーJリーグの徳島ヴォルティスも、ルーツをたどれば大塚製薬サッカー部。大企業が地方都市に根ざすことがどれほど重要かを改めて感じながら、ヴォルティスののぼりはためく鳴門駅を後にした。

ポカリスエットスタジアム
ポカリスエットスタジアム
鳴門市内にある徳島ヴォルティスの本拠地。チーム名のヴォルティス(Vortis)とはイタリア語で渦を意味する「VORTICE(ヴォルティーチェ)」からの造語。
 
鳴ちゅるうどん
鳴ちゅるうどん
軟らかい細麺が特徴。駅近く・久吉のちくわうどん(写真上)と老舗・舩本うどんのうどん。

鳴門わかめ
鳴門わかめ
春先は新わかめの収穫最盛期。浜のあちこちで湯通しする光景が見られた。

鳴門金時芋を使ったお土産
鳴門金時芋を使ったお土産
左上から鳴門金時芋だんご、真ん中が徳島鳴門金時もち、右が元祖なると金時、下がうず芋。奥の金長まんじゅう/金長まんじゅうゴールドは鳴門金時芋は未使用だが、お隣・松茂町の有名なお菓子ということで購入してみた。
 
 

鳴門公園までの交通

足摺岬までの交通

【JRで】

鳴門駅まで
 徳島駅から約40分
 池谷駅から約17分

【バスで】

鳴門公園バス停まで
 徳島駅から約74分
 鳴門駅から約24分

【自動車で】

鳴門公園まで神戸淡路鳴門道鳴門北I.C.下車後約1km、5分
 

記事一覧はこちら