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バリバリ通信

四国最南端を歩く

掲載日:2013年12月

足摺の朝日とだるま夕日
(高知県土佐清水市)

 海から昇る朝日、とパソコンの検索サイトに入力してみると、真っ先にヒットしたのが足摺岬。そこで天気予報とにらめっこして、11月末の寒い朝、足摺岬展望台に立ってみた。しかし当日、水平線にはたくさんの雲が…。我が身の運のなさを嘆いたが、それでも雲の上に太陽が姿を現したときには感動した。沖合から伸びる一筋の光、その神々しさたるや筆舌に尽くしがたい。初日の出を見逃してしまったとしても、ここで見れば御利益があるかもしれない、と思わせるほどだ。

天狗の鼻から見る足摺岬
天狗の鼻から見る足摺岬
天狗の鼻では足摺岬の灯台と展望台とを一緒に眺めることができる。行者との戦いに敗れた天狗が海に落ちた岬ということから名付けられた。椿のトンネルを抜けた先にあり、10人程度で満員になってしまうのではないかと思われる小さな展望台を備える。

 足摺岬には「日本の灯台50選」としても有名な白亜の足摺灯台を巡る遊歩道が整備されており、四国最南端の岬と灯台をいろいろな角度から観賞できる。駐車場からジョン万次郎の銅像を経て展望台に向かう道を左へ折れ、椿のトンネルを10分ほど歩いた先にあるのが天狗の鼻。右へ向かうと足摺岬灯台だ。

足摺岬灯台
足摺岬灯台
地上約18メートル、平均海面からならおよそ80メートルの高さを誇る。開設は大正3(1914)年、現在の形に改修されたのが昭和35(1960)年。
椿のトンネル
椿のトンネル
足摺岬に春を呼ぶヤブツバキ。遊歩道だけでなく岬一帯に自生しており、1月下旬から3月にかけては満開のアーチをくぐって歩ける。
 

 灯台周辺から白山洞門(はくさんどうもん)に至るロマンス歩道沿いには足摺七不思議なるスポットが点在する。金剛福寺を開いた弘法大師にまつわるものが多く、沖の不動岩へ渡るべく亀を呼んだとされる亀呼場、大きな岩に爪で南無阿弥陀仏と彫ったとされる弘法大師の爪書き石、昔は金剛福寺の本堂下まで通じていたとされる地獄の穴など、実際には20を超える「不思議」があるようだ。

金剛福寺
金剛福寺
四国霊場第38番札所。足摺岬の駐車場向い側にあり、言わずもがな、八十八か所の中でも最南端に位置するお寺である。

白山洞門
白山洞門
アロウド浜にある、波で浸食された日本最大級の洞門。この直上には白山神社の本宮が鎮座するが、鎖や手すりがなく足元が危険なので登るな、との注意書きがされていた。

 白山洞門は花崗岩が太平洋の荒波にむしばまれてできた日本でも有数の海蝕洞。万次郎足湯に浸ると正面に見えるものの、万次郎足湯の駐車場から白山洞門のあるアロウド浜へ下りられるので、時間と体力が許せばぜひ間近まで行ってみたい。ただし標高差約60メートル。帰りはきつい上り坂が待っている。

 足摺における温泉の歴史は古く、千二百年前に弘法大師が開湯したとされる。しかし百五十年ほど前に大地震による地殻変動でお湯が湧出しにくくなった。それを復活させるべく、平成元年から10年を掛けて源泉を掘削、今では足摺岬周辺のホテルや民宿9軒に引湯されている。無色透明のラドン温泉で、足摺パシフィックホテル花椿と足摺テルメではそれぞれ日帰り入浴も可能。

万次郎足湯万次郎足湯
万次郎足湯
「あしずり温泉郷」誕生10周年を記念して平成21年にオープンした、白山洞門を見ながら入れる無料の足湯。水曜定休。

足摺テルメのフランス料理
足摺テルメのフランス料理
足摺岬周辺では清水サバをはじめとする活きのいい魚が獲れる。それゆえ和食には事欠かないが、ここでは三つ星レストランで腕をふるった料理長がもてなす絶品フレンチも味わえる。

周辺マップ
▲クリックすると拡大します。

 このほか亜熱帯植物園を散策するのも一興だと思ったが、今回は更なる絶景を求めて西側の臼碆(うすばえ)方面へ車を走らせてみた。まずは樹齢三百年と言われる松尾のアコウ。気根を垂らして親木を絞め殺す寄生植物で、大正13年に天然記念物に指定された。そこから15分ほど歩いて重要文化財の吉福家住宅から海に向かうと女城神社。その先には女城岬(めじろばな)の絶景が広がる。道中には太平洋戦争の遺構である女城鼻監視哨跡があり、海面近く飛来する敵機を監視・迎撃した記録も残る。三方の海を見渡せるということは軍事利用にも最適ということか。

臼碆
臼碆
竜宮神社から見る臼碆灯台。ここは黒潮が日本で最も早く到達する場所。沖合は清水サバやカツオの好漁場として知られるほか、クジラやイルカも悠然と回遊している。

 黒潮が最も早く到達すると言われる臼碆は県道27号沿いの鵜ノ岬展望台からも見ることができる。しかし臼碆岬灯台の姿は確認できない。そこでさらに車で10分ほど移動、竜宮神社を目指す。駐車場から約1キロ、高低差50メートルほど。強風にあおられながらも何とかたどり着くと、眼前に広がっていたのは疲労を一瞬でかき消してしまうほどの景色。地球は丸いことを改めて知らされた。


唐人駄場
唐人駄場
唐人とは異人(外国人ではない)、転じて神とも解釈される。駄場とは平らな場所。山側に林立する巨石群を唐人石(とうじんいわ)という。

 臼碆から椿の道(旧足摺スカイライン)方面へ山を登っていくと、巨石群が見えてくる。唐人駄場(とうじんだば)だ。ストーンサークルに囲まれた広場は果たして祭祀場だったのか、それとも宇宙船の発着場だったのか。巨石が重なり合っているのは自然にできたものなのか、それとも人工的に配されたものなのか。いろんな解釈があるようだが、出土している石器や土器は縄文時代中期の紀元前5千年ごろのものと推測されているようだ。そんな昔に何があったのか考えるだけでもロマンは尽きない。のだが、紙幅が尽きた。同じ土佐清水市でも竜串・見残しは文字通り見残すことにする。


だるま夕日
だるま夕日
冬場の空気が澄んで海が穏やかな日にしか見られない蜃気楼現象。足摺岬はだるま夕日の観測スポットとしても名高い。

 そして最後に夕日について。だるま夕日は足摺岬一帯では海に夕日が沈む場所ならどこでも、冬場の良く晴れて海が穏やかな日に観測できる。それだけでなく、おおどトンボ公園からは長さ約80メートルの洞門に夕日が差し込んで光の帯を映す、トオルマの夕日を見ることができる。ただし春分と秋分の日の前後数日間、それも日没前のわずか数分間に限られるが、神秘的な光景だけにぜひ見て欲しい。

 

足摺岬までの交通

足摺岬までの交通

【バスで】

土佐くろしお鉄道中村駅から約1時間40分
土佐くろしお鉄道宿毛駅から清水プラザパル乗り換えで約2時間

【自動車で】

高知自動車道・須崎道路 四万十町中央I.C.から国道56号、国道321号を通って約90km
松山自動車道・宇和島道路 津島高田I.C.から国道56号、国道321号を通って約110km
 

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